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1 2007年 02月 18日
横浜の急な坂スタジオで、「超詳解!20世紀ダンス入門」のレクチャー最終日に東谷隆司さんと一緒に出演。ホストの木村覚氏とともにたっぷり3時間以上、最後にはレクチャー全体のフィナーレということで客席に居た大谷能生も交えて色々と話した。僕がこのところダンスや芝居といった上演ものを意識して観るようにしているのは、『(H)EAR』の後書きでも予告しておいたように、音楽に関する次のまとまった仕事として、一種の「即興論」をやろうとしているからで、フリー・インプロヴィゼーションというものについて思考しようとすると、どうしても音楽以外のジャンルにおける即興性の問題や、身体性に関するあれやこれやについても考えざるを得なくなってくる。そんなわけで今回は勉強も兼ねての参加みたいなことであったのだが、それのみならず、色んな意味で個人的に非常に実り多いコミットメントになったと思う。
実際のトークでは、東谷さんがアートの分野における身体性の追求の例として、ヴィト・アコンチやクリス・バーデン、マリア・アブラモヴィッチなどのいわゆるボディ・アートについて超レアなビデオを見せながら解説してくれたかと思えば(多田正美についても触れていた)、後半になると一挙に正体を現して(笑)、木村さんのキュレーションで自らパフォーマーとしてイベントに出演した時の秘蔵映像や、YOUTUBEでマイナースレットなんかのモッシュ映像を見せて、異なる複数の肉体が混在する場における「社交」の問題を論じたり、僕は僕でグレン・グールドやデレク・ベイリーのDVDを意図的に音声を消して見ることで、彼らの演奏行為が「身振り」として立ち上がってくるというアイデアを出してみたり(音楽における「発音ー聴取」の構図の逆転、リスナー中心主義の応用)、その延長線上には「身体」が存在しない「ダンス的なるもの」もありえるのでは、ということで、最近DVDが出たフィシュリ&ヴァイスの「事の次第」を紹介したりとか、あとディー・テートリッヒェ・ドーリスの、LPの楽曲を手話に直して上演したDVDを見せたりもして、まあある意味、ダンスから遠く離れて(苦笑)みたいな展開に予想通りなってしまったのだが、しかしこの連続レクチャーの前回までで歴史的な経緯はきちんとおさらいが済んでいた筈なので、たぶん僕らに求められていたのは、そうした思い切りの逸脱であったのだと思う。 それがどの程度成功していたかはともかくとして、僕としては大層楽しかったし、沢山の刺激を受けた。終わってからの例によっての打ち上げの席もすこぶる愉快だった。レクチャー自体には最初と最後しか参加できなかったのだが(ジャドソン・ダンス・シアターの回に時間を間違えて行けなかったのが返す返すも残念だ)、ここで受けた刺激は、ちゃんと自分なりにフィードバックして今後の作業ヒントにして、遠からぬ内にどこかで(といってもどこともまだ決めてないのだが)発表される筈の『〈即興〉の解体』(仮)に活かしたいと思う。 木村覚さんとは今回はじめて会ったのだが、ダンス批評、舞踏論の範疇のみならず、今後さまざまな形での活躍が予想される、気鋭の批評家だと思う。何よりもその一見キマジメそうな風貌に似合わず、きわめて好奇心旺盛でノリが良くてアグレッシヴなところが良い(木村さんスミマセン笑)。ぜひまた何か一緒にやりたい。そうそう、木村さんは僕も関わっている来月頭の東京芸術見本市で、大谷君とトークするそうだ。というわけで、TPAMのHPと、木村さんのブログと、今度のレクチャーに関するレポが載ってるブログのURLを以下に記しておく。 http://www.tpam.or.jp/ http://blog.goo.ne.jp/kmr-sato http://assaito.blogzine.jp/assaito/ ▲
by ATSAS
| 2007-02-18 22:24
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