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2007年 08月 15日
・昨晩、道尾秀介『ソロモンの犬』を一気に読了。僕は『片目の猿』よりもこっちの方が好きです。というか素晴らしいと思う。本格ミステリとしての技巧の卓抜さ、目の行き届き方は勿論のこと、何より彼の小説はどれも、人間の弱さというものをちゃんと描けていると思います。「日常」も「リアル」もどちらも嘘事です。こんなあからさまに人工的な物語だからこそ、ほんとうの意味で「文学的」な主題を描けるのだと思います。この人は今でも十分に凄いが、これからもっと凄い作家になるだろう、そう確信させてくれる作品です。
・朝からフェネスのデビュー・アルバム『ホテル・パラレル』のリイシュー〜デラックス・エディションのライナーノートを書く。もうあれから十年経ってるのか、、、 ・「SPA!」のために青山真治監督のインタビュー。もちろん『サッド・ヴァケイション』のこと。彼はいま明らかに、映画作家としても小説家としても、というかその区別が完全に融解するような在り方で、大掛かりな変化の過程にある。しかし言葉が、お互いが考えていることが殆ど過不足なく通じるというのは(と少なくとも僕には思えているのだが)、まったく持って得難いことだと思う。彼と話していると、極端に抽象的な話題も俗っぽいバカ話の類いも、同じテンションで喋れる。市田ランシエールはそんなにスゴいのかと聞かれたので、ホントにあれはヤバい本なのだと答える。実際、市田良彦を通したランシエールの「政治=芸術」と、青山君が最近あちこちで繰り返している「活劇」とは、僕にはほとんど同じようなものに思えるのだ。 ・ホースのレコ発一日目@ループライン。最初に沖島勲監督『一万年、後。。。』の予告編と、やはり宇波君が音楽を担当した古澤健監督の短編『NO BORDER』の上映、続いてゲストの中尾勘二さんのソロ、そしてちょうど東京にいらしていたえでぃまあこん/REDERの水谷康久さんを加えたホースをたっぷり一時間以上。トータル(トイレ休憩を入れて)2時間の充実したプログラム。皆様、ご来場ありがとうございました。明日もよろしくお願いします。
by ATSAS
| 2007-08-15 23:00
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