・竹本健治インタビュー。一見、モロに萌え系ラノベ風なネタであるようでいて(だって美少女メイドロボットが探偵役なんですよ!)、しかしその実いかにも竹本氏らしい捩れや歪みを絶妙に孕んだ新刊『キララ、探偵す。』のことを中心に、長年の愛読者としては何とかこの異形の天才の秘密に迫ろうとして一時間強、あれこれとお話を伺わせていただいた。「インビテーション」に載ります。しかし何より特筆すべきは、インタビュー場所が何と、『ウロボロスの純正音律』を読んだ方ならお分かりの、あの「玲瓏館」の「スタジオ・シェスタ」であったということだ。そのことに気付いた瞬間にはさすがの僕も密かに戦慄したものである。このあたりのことについては書きたいことが色々とあるのだが、おそらく差し障りがありそうなので自粛。竹本氏は想像してた通り非常に興味深い方でした。僕はこれまであまりにも沢山の人をインタビューしてきたので、今や誰に会っても(たとえ自分が長年ファンであったような相手でも)ほぼまったく緊張もしなければ感激もあまりしないのだが、面と向き合っている間はそんなでもなかったものの、取材後にひとりになって帰り道を歩いていたら、不思議な、これは不思議というしかないような高揚感と満足感がじわじわと湧き上がってきた。僕はたぶんかなり嬉しかったのだと思う。これまで何度も折に触れて『匣の中の失楽』を読み返してきたし、その度にその時々の自分に見合った新しい刺激を受けてきた。何よりも虚実というものがどこまでも反転が可能であり、だからこそそのどちらもが同じくらい絶対的な根拠などは欠いていて、だからこそ同じくらいにかけがえのないものなのだ、という一種の人生観、世界観には圧倒的な影響を受けていると思う。
・ほんとうは写真美術館にフィリップ・ガレルを観に行くつもりだったのだが(今週末までなので今日を逃すとスケジュール的にもう時間がない)、疲れたというわけではないが、なんとなくやめてしまう。僕はなぜだか、これには絶対行きたい、これだけは必ず行かねばならない、などと強く思っているような場合に限って、直前になって不意にどうしても行く気にならなくなってしまうことがあるのだが(極端な場合には、会場近くまで行ってから戻ってきてしまうこともある)、それは年々強まっているような気もする。どうしてなんでしょうね。