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2007年 03月 10日
・羽田からANA。機内で昨夜から読んでた佐々木正人編『包まれるヒト』読了。ホンマタカシのインタビューが面白かった。ホンマ君とは昔、彼の監督したオムニバス映画の音楽監督(?)をやらせていただいたりしたのだが、ここ数年会ってない。『きわめてよいふうけい』はすごく良い仕事だったと思う。ひさびさに話してみたくなった。他は青山真治の「映画にとって身振りとは何か」とか保坂和志の「小説、言葉、現実、神」とか。アフォーダンス(どうしてなのかこの論集ではギブソンの名前は何度となく出てきてもアフォーダンスという言葉はほとんど使われていない。意図的に避けているような感じもする)は「即興論」とも関わってくるのだが、取り扱い注意な気がしている。
・続いて『来るべきデリダ』をダラダラ読む。「連続講演「追悼デリダ」の記録」。アラン・バディウ、スラヴォイ・ジジェク、ジャック・ランシエール、エティエンヌ・バリバールまで読み進み、ジャン=リュック・ナンシーの途中で宇部空港に到着。 ・飛行機の中でサンレコの國崎さんやカンバセーションの前田さんと会っていた。到着ロビーに出るとコモンズ中城さんたちの姿も。皆さん一緒に乗り合いタクシーで山口情報芸術センターへ。着いて楽屋に顔を出し、坂本さんに挨拶するやいなや、すぐ展示を観て観てとギャラリーに連れていかれる。YCAMの委嘱による坂本龍一×高谷史郎のインスタレーション「LIFE-fluid,invisible,inaudible...」。高谷君にも久々にご挨拶。本日一般公開のできたてホヤホヤの展示。天井から吊り下げられた3×3=9つの水槽の中にガスが噴出していて、それぞれ上部から映像が真下にプロジェクションされており、鑑賞者は個々の水槽の裏面に映る映像と床に落ちる透過光と陰影を見ることが出来る。ガスの不安定な揺らぎが映像にランダムなブレや乱れを与えている。18発のスピーカーが水槽を取り巻くように配されており、プログラムされた音響がランダムに出てくる。全体の展示そのものが持つシェイプも、次々と移り変わるイメージ群も、空間的な構造を持ったサウンドも、どれもずば抜けて美しいのだが、この作品が素晴らしいのは、美的な完成度はむしろ(この二人なら)当然のこととして、形式だけではなく内容面、すなわちそこで展開されるオーディオ=ヴィジュアルのコンテンツ(映像も音も、何時間観ても尽きない位の素材を用意したという)が、極めて深く豊かなものであるということに依っている。あっと言う間に30分くらい居続けてしまった。 ・僕はレセプションというものには滅多に参加しないのだが、こんな機会なので隅の方で乾杯させていただきました。ちょうど日本に戻ってきていた池田亮司ともひさびさに会う。池田君は来年の今頃、このYCAMで新作インスタを発表するらしい。あと今年はニュー・アルバムを出すそうだ。『(H)EAR』の装幀をしていただいた近藤一弥さんともお話した。 ・夜はラップトップコンサート。展示の置かれたギャラリーをそのまま使用しての演奏。ほぼ即興と言える演奏だったと思うが、とても良かったと思う。満員のお客も大満足だったのではないだろうか。YCAMはほんとうに、ものすごく贅沢な場所だと思う。キュレイターの阿部一直さんの才覚と献身には頭が下がる。 ・かつて庄屋だった(とタクシーの運ちゃんに言われた)民家を改造した店を借り切って総勢ウン十名による打ち上げ。スケ−ルが大きいですね。一体ここはどこなんだろう?と思うほどに、その筋で有名な色々な方々が沢山おられる。とゆうか僕がこういう業界的な場に殆ど行かないだけで、いつもこんななのかもしれないけど。よくわかりません。インターコミュニケーションの柴さんとも超久々に会って色々お話した。そんなこんなで長い一日が終わった。
by ATSAS
| 2007-03-10 23:05
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