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2007年 07月 15日
・櫻井圭記『フィロソフィア・ロボティカーー人間に近づくロボットに近づく人間』。著者は東大の院を出てプロダクション・アイジーの社員シナリオライターになった人で、瀬名秀明と対談なんかもしている。意味ありげなタイトルとプランクの秀眉なブックデザインに惹かれて読んでみたのだが、基本的には既に知っていること以上のことは書いてなかった、と思ったら元は修士論文だったのか。ちょっとだけ面白かったのは、WiiとYouTubeを「人称」という概念を使って説明している章で、かなり唐突に樋口一葉の「にごりえ」が引用されるところ。論旨はあんまり納得しなかったものの、いきなり感が新鮮でした。
・ひろゆき『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』。僕は2ちゃんは全く見ないし、ニコニコ動画どころかYouTubeも大して活用していないのだが、つい読んでしまいました。「てことはつまりこういうことでしょ」とか「てことはつまりこうならざるをえないでしょ」とか「てことはつまりこれが答えでしょ」みたいな、つまりはコンピュータみたいな瞬間答え出しマシン的思考という意味で、たとえば浅田彰という人がVer.0的な存在として居るとすると、そこから芸術=美学をマイナスすると山形浩生になり、更にそこから小説愛さえマイナスすると西村博之になる、という感じがします。ていうかSPA!に載ってた小飼弾との対談の長尺版があまりにもオモシロ過ぎ。 ・ビデオで、9月公開予定の沖島勲監督作品『一万年、後....。』。何を隠そう沖島DVD-BOXも持っていたりする私ですが、そこにも入ってる前作『YYK論争 永遠の“誤解”』も相当におかしな映画でしたが、今回はもっと強烈にヘン。阿藤海扮する映画監督が一万後(!)の未来に跳ばされるという設定もスゴいが、そこが一見、今と殆ど変わってない(が、実はまるきり違うのだけど)というのもスゴい。テーマ的には要すれば、人類批判であり、日本批判であり、政治批判である、ということは明白なのだが、にしては演出がいちいちあまりにもワケが分からな過ぎ。まったく意図の掴めないギミックも多数投入されており、宇波拓による秀逸きわまる音響デザインとも相俟って、なるほどある意味、ホースが映画になったら、きっとこういうのかも?という意味不明な感慨を抱かせてくれたのだった。『ラザロ』にも増して観る者を選ぶ映画であることは疑いないですが、これは必見です。
by ATSAS
| 2007-07-15 23:50
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