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2007年 02月 01日
・芸大に続いてムサビ「サウンドイメージ」「音楽概論」の成績付け。課題はやはりレポートなのだが、こちらは計400名くらい居るのでなかなか大変。でも個性的な生徒が多くて読んでて飽きない。ただ、ひとつ思ったのは、たとえばある作品や作家のことを「自分はコレが好き!」と書くだけでは当然、なかなか他者に読ませられる文章にはならないわけで、「自分はコレのどこがどう好きなのか?」とか「自分はなぜコレが好きなのか?」とかも考えて言葉にしなくてはならないのだが、そこまでいけてない子が割と多かった。まあプロでもそういう人はいるけれどもね(…)。そういえば「サウンドイメージ」ではオーディオ・ヴィジュアルな作品であれば自由に題材を選んでいいことにしたのだが、ACIDMANのPVのことを書いている生徒が何人も居て、なるほどなーと思いました。あとアニメがすごく多い。世代だなあ。。。
・三浦俊彦『のぞき学原論』。いやあスゴい本だ。いちおう第一章ではご専門の宇宙論や人間原理に引っ掛けた「覗き」原論、第二章では日本文学における「覗き」というテーマが論じられているのだが、それはまあ前置き(というか前に置かれた付け足し)で、全体の8割方を占める本論は膨大かつ詳細なデータと実際の視聴体験を基にした盗撮・フェチ・スカトロAVに関する長大な論考。頁の下段にはパッケージ写真も沢山載ってます。『自転車のお姉さんのお尻』とか『実録マジックミラー』とか『強襲撮どっきり便所』とか、その他ここでは記すのが躊躇われるイカした(イカれた)タイトルのヴィデオ群が、たとえば「声ー視線の交錯からメタ覗きへ」みたいな調子で延々と語られる。ちなみに三浦氏は和洋女子大学教授。さすがだなあ。 ・駒場アゴラ劇場で青年団の若手自主企画によるファスビンダー作「ブレーメンの自由」のリーディング公演。演出は武藤真弓さん。前日に引き続いてポスト・トークは岡田利規(というか、これも「シフト」も「冬のサミット」という企画の一環で、岡田君はその全体のディレクターなのだ)と無類のファスビンダー好きを公言している中原昌也。「ブレーメン」の戯曲は論叢社から翻訳が刊行されているが、リーディングといってもただの朗読ではなく、きわめて緻密に演出されていて、すごく面白かった。武藤さんはもともと映像畑の出身だそうだが、彼女の監督作品もぜひ見てみたいと思った。場内は超満員。しかもなんだか小劇場系の客層とは微妙に雰囲気が違っていて、オジ(イ)サンたちと若いカップルがなぜか目立っていたのだが、これはファスビンダー&中原君ということで、ドイツ系とシネフィル系とサブカル系が付加されているせいかな、とか思った(が違うかもしれない)。ポスト・トークでは中原節が爆発して、会場は爆笑に次ぐ爆笑、ファスビンダーを語っていたことになってたかどうかはともかく大変に盛り上がった。普通、ポスト・トークは30分強くらいのことが多いのだが、舞台に出てきた時は(いつもそうだが)不機嫌かつ体調も悪そうなムードを発散していた中原氏が途中から次第に盛り上がり、いつしか絶好調になって、彼を知る者にはお馴染みの「エンドレス・モード」へと突入したのがはっきりと分かり、実際ほとんど1時間近く喋っていたのではないかと思う。でも観客も大満足だっただろう。岡田君に初対面の武藤さんを紹介してもらい(ありがとうございました)、帰ろうとしたら中原君に掴まり、ワケがわからないまま打ち上げの席に連れていかれる。僕はひとが多い場所は原則的に苦手なのだが、いざそこに居ると、どうしてもそうは見えないという欠点がある(?)。ひさびさだから話しましょうよと誘った筈の中原君は当然のように別の方々と談笑していて、僕は岡田君や白水社の方や新潮社の方とかと呑みながら話す(だが横浜在住の岡田君は早めに帰られたのだった)。それから中原君にトーマス・ベルンハルトの翻訳者である池田信雄先生(お目にかかれて非常に感激でした。向こうは僕が誰なのか全然わからなかったでしょうが苦笑)とそのご子息でコアマガジンの編集者の方、トークの際に舞台袖に居て、話の途中で何度も何度も中原君に(途中からは答えようもないようなことばかり笑)質問されていたファスビンダーの字幕翻訳者渋谷哲也氏などを紹介してもらう。あと早稲田で映画史をやっている旧知の畠山宗明君にも久しぶりに会った。あっけなく終電を逃してしまったが、程なく劇団の皆さんにご挨拶をして(お邪魔をしてすみませんでした)、これから更にゴールデン街にラーメンを食べに行くという中原先生ご一行とすぐさま別れて、タクシーで帰宅。
by ATSAS
| 2007-02-01 23:57
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